2022年5月31日火曜日

続・忍びの者


 前回の一作目からさらにお金のかかった感じで、スケールが大きくなってた。信長が落ちた時は流石にぱちぱちと手を叩いたわ。あんな威張り腐った奴「ざまみろ」って感じ。ただ前回も感じたけど、この城 健三朗曰く、若山富三郎演ずる信長見てると茶目っ気あるけど尊大な面構えの感じが黒沢がその後「影武者」をやる際に弟の勝新を起用して「王様と乞食」と「リチャード三世」を足して二で割ったような信玄を発想した経緯が想像できるな?と思った。それ以外にも今回は「乱」を想起させるようなシーンもあって、時代劇だからというのもあるだろうけど、たぶん影響を相当に受けているんではないか?と思った。

また最後に秀吉にかくまわれたシーンは、いまのロシア対ウクライナでのアゾフ製鉄所の内部を見ているか?のような印象も受けた。しかし雷蔵演ずる五右衛門が敵中枢へ向かう際、親鸞を信仰し極楽浄土を願っていたが、果たしてウクライナの極右ファシストであるレジスタンスたちはなにを命に命を、または何に殉じて命を引き換えにしたんだろう?と見ていてつい考えてしまった・・。

忍者=スパイという諜報工作員であるが故の工作活動が前回より希薄になった気もしたが、人の心理を扱って一国を動かすという設定や、前回は偽情報を世間に垂れ流して真実を見えなくしたりと、どこかただのエンタテインメント、というより、そういうことは実際行われているんだと、訴えている気迫が伝わってくる。もともと原作は赤旗で連載されていたそうで、さっきそのことを知って、当時の共産党員の心情というか、そんなとこいらへんまで想像してしまった。本作で監督の山本薩夫は監督を降りるが、三作目も見たくなるような終わり方だったので、中野学校シリーズ同様、一応、最終章まで見る所存である。