キャプションの文章が暫く見つからなかったのだが、ようやく見つけたので掲載する。この作品は2019年、黄金町バザール2019で制作、発表された映画。その後、2021年にジャックアンドベティでも上映された。
映画「チカチカする ハルの川」(2019 51min HD)
監督・脚本 吉本直紀
出演
韓国人留学生 ハル Gaeun Kim
写真作家 河本今男 荻野高継
赤羽拳 鈴木喜明
メコ 今男の女友達 小池瑠奈
チンピラ 三宅友達
佐久間千春
キャプション文
夢とバカバカしい現実
夢の世界ではどんな滑稽な、日常を逸脱した状態も、またはどんなバカバカしい光景も、それがその世界のルールなら、それが常識として通用してしまう。そしてひとたび目が覚めた時にようやく「ヘンな夢見たなぁ」となり、数分後、または数秒後には忘れ去られていく。
だが時として人は、平常心なら誰でもおかしいと思うことを、思い込みの激しさや、または集団の場合なら、時にその時の「空気」という雰囲気などによって、そのバカバカしさを支持し、実行してしまったりもする。そういうことの最たるものが、戦争だと思う。戦争とは思うに、人類最大の人種差別行為だと断言する。本当はこの惑星には敵など存在しないのだ、と思う。存在しているかのように思わせたい輩と、僕ら一人一人に恐怖心があるだけなんだと思う。僕は祖母を東京大空襲で亡くした。そして黄金町では沢山の人が横浜大空襲によって同じ兵器によって亡くなった。いつかそれを題材にした作品を作ろうと思っていた。
映画=時間 写真=永遠に封じ込まれた一瞬/今
映画をやっているうえで普段から考えることは時間のことだ。74年前にあった出来事は古いフィルムなどのメディアによってその過去形を持続している。だが近年ではデジタル化によって20年前の映像でもさほど古さを感じなくなってきた。実際、古くなるのは被写体だけなのである。そして写真は「今」を半永久のフレーム封じ込めるメディアである。こんな発明は、これからもそうは発明されないだろう、と思う。
70年後、現在の状態を見る人類は、近年の我々が抱くような古さはさほど感じなくなるんじゃないか?と、と思う。そしてその頃、ここらあたりはどうなっているのか?またこの国はどうなっているのだろう?