2016年3月8日火曜日

メモ 01


映画には舞台のような場や空間の力はない。映画の力は、むしろフレーミングとかそれらを繋ぐモンタージュの構成か。グリフィスの発見は後頭葉への平面的空間形成のそれで、やがては映画において物語を伝達する役割さえ担う。エイゼンシュテインは視覚的物体認識へ直接的または逆説的に訴えかける。でもいわゆる「映画になった」っていうあの瞬間は、もっとべつの、人の記憶や体験知の奥に潜むなんらかのプリミティブな共通認識を所有する領域を刺激する。映画が面白いのは、それらが時に創り手さえ気が付かぬ瞬間にやってくる一種の不安定さでもある。