当時、本シリーズの数年前から007は始まっており、時代はスパイ映画となっていた。「ロシアより愛をこめて」で嫉妬し、Pニューマン起用で作った「引き裂かれたカーテン」キューバ危機を描いた「トパーズ」など、それまでの汎娯楽主義から上手く時代とそのリアリズムに溶け込めなかった晩年のヒッチコックとは対照的に、このシリーズでは、リアリズムと娯楽、そしてフィクションが上手にブレンドされ、敗戦国であるにも関わらず、軍部と外交派という異する路線を現わすことで、まさにギリギリのところで敵国とそのスパイ、軍部、憲兵、政府、そして椎名率いるその他諜報員それぞれの立場と人間模様を描いている。全盛期だった映画産業も徐々に陰りを帯びてきた60年代、たった1時間半前後でここまでの密な構成の作品を数年間で立て続けに作ってしまう当時の日本映画業界の技量は称賛の限りに尽きる。
さて、次は何を見ようか?
もうちょい雷蔵に留まるか現在検討中。
…てか、その前にシリーズ全制覇でめちゃくちゃ嬉しいワ、あ、でももうお楽しみがなくなってかなり寂しい。
もっと陸軍中野学校見てーよ、なんでだよ、あー。
…つぎは多分、大菩薩峠かな??
